PRUG96システムを利用した広域ネットワークの構築
関西地区での実験 第2報


KDCF & Genesys-P PRUG96プロジェクトチーム
代表発表者 水島章広(JA3VAP)
土永善之(JE3UGG)、横田和久(JN1DFF)、山口英樹(JJ3MUC)、久保直美(JO3EKT)、原田真一(JJ3EKV)
佐伯崇、岩井務(JR3WSS)、久保田和雄(JI1VZX)、梶本慈樹(JH4COF)、鵜瀬正樹(JG3DBQ)
五十嵐薫(JH0FMI)、藤本和行(JL3OUW)、山本陽一(JR3EOX)、後藤太栄(JH3GAH)、馬嶋量(JH3USO)


概要 前報では、アマチュア無線を利用した高速データ通信システムの可能性を探る実験として、PRUG96システムを利用した広域ネットワークを構築するプロジェクトの概要と経過報告を行った。
 本報ではこのプロジェクトのその後の経過と今後の予定を述べる。
 今回は、特に実験の第3段階(山上局用システムの制作、設置)の中で山上局の設備モデル(特にアンテナ)を検討した。
 実際に山上局と、比較的長距離にある地上局(2ヵ所、距離17km及び45km)との通信を踏まえた予備実験として、山上局でコリニアアンテナを用いた場合とループ八木アンテナを用いた場合に、有意な差が得られることを実証することができた。

1. プロジェクトの経過

 実験は前報で計画したうちの第2段階(候補地選定)と第3段階(山上局用システムの制作、設置)を行っており、近々にこれらの結果を踏まえ第4段階(実システム運用実験)に入る予定である。
 また、単に通信実験を行うだけにとどまらず、積極的に対外的なデモンストレーションを行い、より多くの方にこのプロジェクトへの理解・協力いただけるよう努めた。
 前回の報告以降の経過を以下に述べる。

1.1 デモンストレーション

6月:「オールNECハムフェスティバル」(比叡山)
   「関西ハムの祭典」(尼崎市)
7月:「第5回科学と生活のフェスティバル」(大阪市) 主催:(社)応用物理学会・大阪市立科学館
8月:「ハムフェア」(横浜市)

1.2 通信実験

7月10,11日:第1回琵琶湖通信実験(鷲峰山、近江大橋、野洲川河口〜志賀〜伊吹山、びわ町、宇曽川河口)
10月9,11日:第2回琵琶湖通信実験(びわこバレィ)
10月31日:志賀〜鷲峰山〜枚方間通信実験(予定)

2. 実験の詳細

2.1 第1回琵琶湖通信実験

 このプロジェクトでは、40kmを超える長距離で定常的な回線の確立も含まれるため、IPSM(送信出力30mW)を使用しての実現は相当な困難が予想される。しかし、まだ我々にはこれを解決するためのノウハウが少なく、今後の実験を計画する前に実際に運用して基礎的な技術を体得する必要があると考え、平成11年7月10日から11日にかけて、琵琶湖周辺で通信実験を行った。

 滋賀県志賀町のJA3VAP局を基地局として、乗用車に機材一式を積んだ移動局を2局用意し、これらで山上局設置候補地の鷲峰山や琵琶湖周辺から基地局と通信ができるかどうか調べた。
 各局の設備を以下に示す。
基地局 滋賀県志賀町(JA3VAP)
アンテナ コメット製多段コリニア
地上高 12m(給電部)
アンテナタワー中段にブームを出して設置

移動局A 鷲峰山、近江大橋、野洲川河口
アンテナ コメット製多段コリニア、および、
マキ電機製15エレループ八木(垂直偏波)地上高 3m(給電部)
車の後部の伸縮ポールに取り付け

移動局B 伊吹山、びわ町、宇曽川河口
アンテナ マキ電機製15エレループ八木
(垂直偏波)地上高 2m(給電部)
三脚付き伸縮ポールに取り付け

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