2.2.1 実験方法

[1] FM機の連続送信にてアンテナの方向を調整し、山上局アンテナがループ八木型の場合、およびコリニア型の場合において双方の信号強度の差を求める。
 アッテネータを用いて受信機のSメータが同程度(S=5)になるよう調整し、そのときの減衰量を比較した。
(Sメータの目盛を用いるより、この方法のほうが精度が高いと考えた)
[2] 同様にアンテナの方向を調整した場合、地上局アンテナの仰角と、目視の仰角との差を求める。アンテナは57エレと15エレのループ八木型を使用する。
[3] PRUG96システムの通信が確立している状態で、アッテネータにより信号を減衰させていき、どこまで通信が確立できるかを調べることにより、相対的な電界強度とその通信不可となるまでのマージンを求める。
[4] PRUG96システムにて、分配器で接続した2基のループ八木型アンテナを使用し、2方向の局と通信できることを確認する。
[5] SS通信用の特製Sメータを用い、各々の場合の電界強度を測定する。

2.2.2 使用機材

山上局 滋賀県志賀町(びわこバレィ山麓駅南)
アンテナ コメット製多段コリニア、および、
マキ電機製15エレループ八木(俯角調整可能)垂直偏波
地上高 2m(給電部)
移動用スタンドに設置
通信機 マキ電機製トランスバータ(UTV-2400BIIP)出力2W+YAESU製トランシーバ(FT-790mkII)
IPSM(LEDを高輝度のものに取替、電源は電池)
その他 SS通信用の特製Sメータ
(RSSI出力付きSS無線機改修)

 15エレ ループ八木は垂直方向に角度を調整できるように金具を取り付けた。
 IPSMは屋外での視認性を良くするためLEDを高輝度のものに取り替え、電池で動作するように電源を変更した。

地上局 滋賀県志賀町(びわこバレィ下 国道161号横)
アンテナ マキ電機製57エレループ八木(仰角調整可能)
マキ電機製15エレループ八木(仰角調整可能)
垂直偏波 地上高 2m(給電部)
車の後部のポールに取り付け
通信機 ICOM製トランシーバ(IC970D)出力1W
IPSM(LEDを高輝度のものに取替、電源は電池)
その他 アッテネータ
SS通信用の特製Sメータ

 57エレおよび15エレ ループ八木は垂直方向に角度を調整できるように金具を取り付けた。

2.2.3 実験結果

 前記[1]および[2]については、おおむね有効なデータが得られた。この結果をTab.1に示す。
 [3]については、アッテネータをアンテナ系に挿入するだけで通信が途絶えてしまい、有効な結果を得ることができなかった。
 また、[4]については、Fig.3に示すように実験局を配置し、通信できることを確認した。使用したアンテナは以下に示すものである。
山上局 滋賀県志賀町(びわこバレィ下 国道161号横)
アンテナ マキ電機製15エレ ループ八木(2基)
(2基を分配器で接続し、それぞれ地上局1、地上局2に向ける)
垂直偏波 地上高 2m(給電部)

地上局1 滋賀県志賀町(和邇川河口近く, 山上局より4.5km)
アンテナ マキ電機製15エレ ループ八木 垂直偏波

地上局2 滋賀県志賀町(JA3VAP, 山上局より3.8km)
アンテナ コリニア

 山上局から2つの地上局を見渡す角度は約128度であった。

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